雪になればいいのに
nonya


どうしても言い出せずに
降り積もってしまった言葉の灰を
掻き出す術もないまま
人気も疎らな遊歩道をそぞろ歩く

いつまでも辿り着けずに
色を失くした街を漂う吐息の白を
飲み込む術もないまま
硬く凍てついた石畳を踏みにじる

柔らかな不安を敷き詰めた

遠巻きに見守るばかりの
太陽
動かない冷気に閉ざされていく
想い
答えを探しあぐねて滞りがちな
足音

涙ではなく
雪になればいいのに
堪え切れず
落ちてくればいいのに

ポケットの中で握り締めていた
こぶしをそっと開いて
受け止めた軽すぎる欠片が
冷たく透きとおる瞬間に

もう一度
自分の熱を
感じることができるかもしれないから

もう一度
自分の在処を
想い出すことができるかもしれないから




自由詩 雪になればいいのに Copyright nonya 2012-12-22 20:04:17
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