初冬の台所
もっぷ

浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い

あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった

母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所

覗き込む
その子はよその子
家の子が気がついてにらむ

うつむいて
立ち去るよその子は
ズボンのポッケに手を突っ込んで

どこかへの道の途中
いつものようにコンビニに立ち寄り
レトルトの
シチューを手にとってみた

誰かの手からの
贈り物

よその子は大切に
レジに持っていって
自分のもの
にした


自由詩 初冬の台所 Copyright もっぷ 2012-12-22 15:22:03
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