電話をかける
すみたに
いまの楽しき日々を織りなして
夜の更けるほどに高まる二人の喜び。
終りを知らぬ二人の会話は
星の間を飛び交う電波。
そのまま夜明けを迎えて白む外
それも知らず、喜びは
行きつくところを知らず
きられることなどない電話。
だが今や、切られたままの電話は
手放され、割れた鏡となっていた。
両手は森にたれ下がり、飛び行く
鳥は喜びの、日々に嘴を刺した。
着信音は震わせて、
思いは間欠泉のようで、
コール音が繰り返されるたび、
高鳴なっていく、それは不安で。
ああ、氷壁の鼓膜を破る声はもう
聞こえないのか…… 天蓋を眺め、
冷たくあしらう風に滲んで降りて来た新月、
黄色をしていた巨大な反射鏡、
それはあなたの名の色だった。
おお、われは衝動にかられる!
あなたに電話をかけては喜びの歌を再び求め、
わたしの本心を再びあなたの人差し指に捧げたいと!