一本のガランス
るるりら



高台から 見下ろせば
雲が唸りをあげている
雲を突き抜けようとする 音がする
街の灯りは 木々の間からも見える
サイレンが パトカーが 消防車が 甲高い音が
地を這う

まだ 雲を切りつつ前に進む飛行機の音がする
不穏だと思うのは 気のせいだ
おそらく すべてが終われば
人工でできた音など 一切しないのだろうから

まだ 飛んでいる
ジョー・ディマジオと マリリンが イワクニ米軍基地に降り立ったときも
あの飛行機は けして 降りてはいなかった
ヒロシマが キノコ雲を宿したときも
あの飛行機は 降り立ってはいなかった

夕焼け色 ガランスの みなぎり
光る糸を 靡かせながら
空をつんざく 音がする


携帯写真+詩 一本のガランス Copyright るるりら 2012-12-19 09:17:01
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