さよなら木洩れ日
Mélodie

冬の朝に目覚めた
私はちっぽけで空っぽだった
息を乱して駆け抜けた
白さばかりを焼き付けて
滲むのは眩しいからだと笑えたよ

その音の先を追って
夢中で走るうちに
泥を跳ね上げることにも
欠片を踏み砕いたことにも
気づかなくなっていたね

愛しい歌を
お守りのように言い聞かせて

隣には変わらず優しいものばかり
木洩れ日のような顔をして
私を何度でも手招くんだね
なのに私は拾えない

手が悴んでもう動けないよ

痛むのは胸じゃない
足や背中や心でもない
ただ欲しいのは張り裂ける喉
吹雪や氷点下の青空へ
解き放てる願い祈り失くした感情
まだ笑えますか
まだ泣けますか
私にまだ降り注ぐ暁
髪を揺らして夜が逃げる
哀しくて寂しくて死にそうだ
私はもっと一人になりたい
何も知らなかった頃のように

さよなら木洩れ日
もう帰ろう

かちゃりと足の下で朝の柱を砕く





自由詩 さよなら木洩れ日 Copyright Mélodie 2012-12-18 04:24:50
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