昇降機
マチムラ

夜の昇降機

唸りが
聞こえる
唸りが

日常とまた別の日常の間を
あらゆる倦怠を乗せて
乱高下する唸りが

どこへも行けない
暗いエントランスの中央で
煌々と待ち続ける唸りが

それらの孤独な合唱が        
ネオン輝くビル街の内部       
何万もの林立する          
心房細動のように          
己の空虚に立ち震える唸りが   

そして聞こえる
開いたドアの向こう
空打ちする
一個の心臓


自由詩 昇降機 Copyright マチムラ 2012-12-17 23:45:53
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