部屋と椅子
はるな


ほんとうにさまざまな椅子があります。家具屋
わたしはひとつに腰掛けて
にっこり笑う。おそれる
広いまどには一羽ずつ天使が張りついて季節を監視しているので

おそれる。
とるにたらないことだと、撫でている手
違うと言えないままほかの椅子にうつることができない

おそれる人々 天使


夜がこってりと部屋を照らしている
わたしはもう二度と
出ていかれない

空はあたらしいやり方でひろがる。
もう舟は
舟ではなくなって
すこしずつ
意味が
平らになる

平らになる。
それは
いつもひとつの椅子にしか
掛けられないこと。
似ている
似ている、と、
指さす天使がばらばらに
飛び回り
それが
空だったと
わかるまで。



自由詩 部屋と椅子 Copyright はるな 2012-12-16 18:34:28
notebook Home 戻る