誰も
衣 ミコ
伏せた老犬の
足元に転がった小石に
降り注ぐ
オリオンのきらめき
夕暮れの夢の中で
艶めく毛並みを揺らし
撃ち落とされた雉の
芳しい血の香りを追う
狩りは終わった、と
誰が彼に告げられるだろう
もう休んでよい、と
誰が彼に
誰も、誰も
ある限りを燃やし尽くす
星と同じに
春になれば
硬い光跡となって
小石の隣に
転がっているだけ
そのことを
誰が彼に
誰も
自由詩
誰も
Copyright
衣 ミコ
2012-12-16 05:31:12
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