「 雪国 」
月乃助



閉ざされた
雪夜には
きまって本の中の
物語りへ
旅に出る
いつもそこには、
長い一本のレ‐ルが、
旅人の平衡を もとめ
走る
私は、一輪車の列車の
乗客
文字の織り成す景色をながめ
次のペ‐ジの場面に
心をゆらす
列車の心地よいそのゆれに
うとうと
うとう と
終わりのない物語に
迷いこめば、
現れた
燭光の駅は、団欒のわらいごえ
妹と父
母の姿も
こちらに小さく手を振っている
客車の端には、タバコの香り
陽のかげに、
弟も座っている
らしかった
私は、少しこわがりながら
弟もまた その駅に
降りてしまわないかと
そんなことが けして
起こらないように
いのったり、、、、、
私の子供たちが
呼ばれませんように
自分に
言い聞かせたり
 駅を越す
列車は、気づけば
国境の長いトンネルを
走りはじめた
そのさきに
「 雪国 」がある
そこはこの旅の終末ではなく
さびしい恋の物語

始まり







自由詩 「 雪国 」 Copyright 月乃助 2012-12-15 21:10:32
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