なまなましい愛
HAL

所詮きみが失ったものは独りのおんなじゃないか
片腕を失った訳じゃないし
片足を切断された訳じゃない

きっと慰めの言葉にはならないのは
承知してるし凡庸だけれど星の数ほどおんなはいる
睨むなよ これでも励ましているつもりだぜ

俺のこと どう云う意味だ
あのおんなは俺に惚れていただって
でも俺はあのおんなにまったく興味はないぜ

約束するよ 俺はあのおんなとは付き合わない
それで気が済むなら何度でも言うよ
俺はあのおんなとは付き合わない

別れの言葉を言うときあのおんなは泣いたって
ほんとうにきみは恋愛に於いては幼稚園児並だね 
おんなが計算なしで泣くと想うのかい

だからいつでもおんなに騙されるんだ
もうおんななんて卒業してしまえよ
もっと違う世界へ俺は連れていってやれる

どうだい もう充分に飲んだろう
今夜は俺の部屋に泊まっていけよ
そしたらきみは未知の愛を知ることができる

いまのきみなら俺の言うことをきみは
骨身に沁みてきっと嫌でも分かるはずだ
男の友情と一緒で男同士の愛は裏切らないことを

男が男に口説かれるなんてなまなましいだろう
でもほんとうの愛はなまなましいもんなんだ
なまなましくない愛なんて所詮は一時の気休めだ


自由詩 なまなましい愛 Copyright HAL 2012-12-15 20:01:26
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