位置取り
HAL

だれにでも好きな位置がある
それは例えば常連のBarの席や
馴染みの喫茶店で座る席

Raceだったそうだ
先頭を走るのが好きなひとも
中段のなかで揉まれるひとも

最高尾から前をいくひとを
眺めながら走るのが好きなひともいる
それはだれもが自分に自信があるから

先頭をいくひとはそのままの位置で
中段のひとはそこから抜け出す機会を狙い
最後尾をいくひとは後方一気に先頭に立とうとする

それは人生が4コーナーを廻ったと感じたとき
どのひともギアをトップに入れアクセルを踏む
もちろんそのタイミングはそれぞれに違うけれど

でもみなゴール板がどこかは視えないけれど
それぞれにゴール板はあそこだと信じて
自分に鞭打ち背負う悲しみや淋しさを忘れそこを目指す

もちろんゴール板がそこだと信じているのは
だれもが同じでそこがゴールだと想いながら
どのひとよりも先にゴール板を切ろうとする

例えそれが間違っていても
遥か彼方にゴール板があると信じても
気がつけばゴール板を通過し果てるひともいる

言うまでもなくその真逆でもうゴール板だと
想っていたところがそうではなく
遥か果てだと気づきまだ先なのかと落胆するひともいる

だけどゴール板がだれにも視えないのは
神の非情ではなく神の慈愛であるはずなのだ
だからこそ英語では人生をRaceと呼ぶ


自由詩 位置取り Copyright HAL 2012-12-12 20:50:12
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