河の匂い
古代 透



 木立からうまれた
 馬たちは渓谷の水を
 跳ねて
 氷の粒のような
 白い息を吐いていた
 
 やさしさからうぶ声を
 晩秋の空にあげた
 手のひらの沈黙を
 コートのポケットにしまう

 河の匂いが
 あまりに大きすぎて
 目をそらしてみたけれど
 そっと
 鼻孔の底から
 流れてきて消えない



自由詩 河の匂い Copyright 古代 透 2012-12-12 12:20:29
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