星どろぼう
月乃助
雪の丘に
さびしさの吐息が あまりに
白いから
夜空の星を 一つだけ
拝借いたしました
忘却というそれを 手にすれば、
私の ちいさな家には、
いれものが みつからないのです
ガラスのコップは、うすく 割れそうだし
おなべは、光をとざしてしまう
白磁のポットは ちょうどよい
やわらかな 灯りをともし
部屋をみたしてくれる
今宵
願いの白湯をそそいで 星の紅茶をいただきましょうか
身も
心も
あたたかな夢につつまれそうです
私のこどもたちは
セント・ニコラスへの手紙を書いているころ
星がひとつすくなくなったことも知らず
海峡の町の
夜空のしたで