雨の中
……とある蛙

雨の音が聞こえる
雨が礫(つぶて)となって降っているのだ
雨の音が聞こえる
冬の雨は冷たい
雨の音が聞こえる
部屋の中にじっとしていられない
雨の中を歩くしかないのだ。

雨の中を歩く
雨は容赦なく降っている
雨の中を歩く
さす傘も持たずに歩く
雨の中を歩く
前を向いて目的地に向かって
雨の中を歩くしかないのだ

雨がやみそうになる
西の空から晴れそうになる
雨がやみそうになる
まだ日の光は差していないのだが
雨がやみそうだと期待はしているが
自分の行く方向は東の方向だ
結局まだ雨が降っているのだ

歩けば歩くほど
歩けば歩くほど

雨の音が遠ざかる
雨は降っているのだが、
雨の音が遠ざかる
雨の中を歩いているのだが
このまま東に向かって歩く
きっと幸せになれると信じて
何時までもたってもたどり着けないのだが
雨の音が遠ざかる

まだ
雨の中を歩いてゆく
そのまま歩いてゆく
そのまま



自由詩 雨の中 Copyright ……とある蛙 2012-12-07 12:41:54
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