まなざしにも自由の刑の宣告 (幻肢の砦たち)
乾 加津也

まどのこちらで膨らむレース
とぎれなく ひたながく
ひかりでいっぱいにささくれた
哲い うすみどりの風がおしいるのは
それは祝福ですわと
すずめたちがけたたましく喉をまっすぐにする
色とりどりのあかるさに
感染して

 まどをとおって
 ひと(ら)は
 路のながれに申し合わせるの
 そして どれだけを投企するの

ひと/とき
なめらかな用具をつかむような
てのひと
(不燃性の)
まどに
まどびと アンガージュマン


+ + +


闇におされて
まどびとは立ちどまる
権利さえ なにひとつ持ちこめない
あちら
から
(鹿の毛の震える 森の湖畔?)
生きるとは感じること
感じるとは相対(あいたい) 耳を澄まし 動することですわと
己を囲い
恍惚を堰きとめる樹幹
アプリオリ
あなたは自己に出会ったの それは
乾いた命題のはず


+ + +


ただ
ときの流れにむかっては消える
まどたちの約束は まどびとの瞳に
声よりも尊い
そのあふれる招きのなかで
(ひとに)啓かれないまどは
季節のように熟れるか
軋んで黒い壁になるのですわと
命の椅子の

から









(ジャン・ポール・サルトルに触発)


自由詩 まなざしにも自由の刑の宣告 (幻肢の砦たち) Copyright 乾 加津也 2012-12-06 22:46:13
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