まなざしにも自由の刑の宣告 (幻肢の砦たち)
乾 加津也
まどのこちらで膨らむレース
とぎれなく ひたながく
ひかりでいっぱいにささくれた
哲い うすみどりの風がおしいるのは
それは祝福ですわと
すずめたちがけたたましく喉をまっすぐにする
色とりどりのあかるさに
感染して
まどをとおって
ひと(ら)は
路のながれに申し合わせるの
そして どれだけを投企するの
ひと/とき
なめらかな用具をつかむような
てのひと
(不燃性の)
まどに
まどびと アンガージュマン
+ + +
闇におされて
まどびとは立ちどまる
権利さえ なにひとつ持ちこめない
あちら
から
(鹿の毛の震える 森の湖畔?)
生きるとは感じること
感じるとは相対(あいたい) 耳を澄まし 動することですわと
己を囲い
恍惚を堰きとめる樹幹
アプリオリ
あなたは自己に出会ったの それは
乾いた命題のはず
+ + +
ただ
ときの流れにむかっては消える
まどたちの約束は まどびとの瞳に
声よりも尊い
そのあふれる招きのなかで
(ひとに)啓かれないまどは
季節のように熟れるか
軋んで黒い壁になるのですわと
命の椅子の
上
から
(ジャン・ポール・サルトルに触発)