最後から二番目の雪
平井容子




・23:18


入れましたか、と聞こうとして
いつも手を伸ばしてしまう
爪の先から痛くなる
ひとから施された病だ

留められている
でかけたままの姿かたちで
感受性をまもりつづけている
水々しい幕をはって
階段しかない
ここはくしゃくしゃに崩れた部屋だ

GDCDHDADおかえりなさい GDCDHDADおかえりなさい GDCDHDADおかえりなさい

入れましたか
入れましたか
入れましたか




・02:24



限られたメタルからわたしたちはさらにこの場に選ばれて
いつの日も耳のなかで溶岩のような心臓をどうか冷やすように努める
それは先のとがった歳月にいつか早鐘をそこで止め
なめらかな繊維の夜に横たわるときにはその作用も終わっている

黒いコードにまたがってこの四方山を飛ぶとき
かたときも離さないまま
そのことを忘れ笑みをほのめかす

音が止んで、




・05:59


印象のはなしをしようとして深くだまる
夜のまえで
火のまえで

もういちどこのことを抱こうとして深く傷をおう
星の普段を知り
ここは祭壇の一歩手前

構築と処理
深層の雪

内と外とは
いま、おなじこと
ふりあおぐものたち
たちまちに眠れ




自由詩 最後から二番目の雪 Copyright 平井容子 2012-12-06 16:23:08
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