葉leaf

愛されたかったと
声にも出さず 紙にも書かず
降りしきる錯乱に耐え
笑い立つ秩序を嘲り
愛という概念だけを知り
愛という無に向かって超越を繰り返した
生まれてからずっと孤独だったと
冷たく蝕んでくる孤独を共有し
新しい孤独を創造するために
俺のものでもお前のものでもない
所有や含有を超えた孤独を打ち立てるために

雨が降り始めるときの苦しげな大気の陰りのように
遠くの山の晴れと曇りの甘い境目のように
あるとき 愛は俺を切り裂いて俺の中に寄生した
だが俺は愛を捕まえることができなかった
飛び跳ね 隠れ 逃げ回り 背中にかぶさってくる
その愛を手なずけるための技術と地理が欠けていた
俺は愛に差し出す肥料を知らず
愛を枯らせてしまった
涙は無限遠まで駈けていき
再び戻ってきて俺の脳を巡った

いくつもの壁が倒れたあと
愛は俺の中に芽生えた
そして俺の体の隅々にまで根を張り
俺は俺を愛するようになった
愛されたかったと
確かに愛されたかったと
そのような過去に一瞥くれてやり
そのような過去の集積を書庫にしまい込み
ただ一言
俺には愛される資格があると



自由詩Copyright 葉leaf 2012-12-06 04:23:02
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