FinAgains
月乃助

Agains 

今年はじめての 雪でした
足の下に さくさく 
冬の音がする

雪のつめたさに
舌打ちしたり
みなが冬をきらうから
少しばかり 冬は意固地になっていたりするのです

やさしさのぬくもりに
溶けてしまうと こわがったり
自分をうしないそうで、

路傍にのこされた 失恋の印し
親からはなれた 迷いの小鹿
困惑の目をむけた
人恋しいのは いきものの
それだからおまえは、里をさまようのですか

さしだす手に
逃げる背を追い 冬の 杉の皮のあじを想う

凍てつく夜
杉の森のなかに ひとり
涙を目にため 
夜の静寂に 耐えるおまえは、
冬を 生を越す 力をやどしている

雪のうえに
足あとをならべ
私は、その力をほんの少し
わけてもらう


                            Fin






自由詩 FinAgains Copyright 月乃助 2012-12-01 20:31:52
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