箱詰め電車
殿岡秀秋

駅でたくさんの人が下りたあとの座席に
包みが置かれている
忘れ物だ
ぼくはあわてて取って
フォームを歩いて
事務室にいって
遺失物の届出をしようとしたのだが
形のあるものでないと受け取れない
と駅員はいう

受け取ってもらえない
重い包みをもったまま
ぼくはフォームに佇んでいる
電車は人の数だけ悩みを運んでくる



自由詩 箱詰め電車 Copyright 殿岡秀秋 2012-12-01 16:12:03
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