曲がり角の金木犀
miruki

その日消えそうなわたしは
透明になって歩いてた
通りすがりの犬が
おん!
と、高いような低いような声で
わたしを見ながらひとこと吠える
“しっかりしろよ”

曲がり角を曲がったら
突然匂いがやってきた

あ、金木犀

昨日まではなかったし
おそらく何日かしたら無くなる
一期一会の金木犀

甘い甘い匂いは
わたしに

を教えた

消えそうだったわたしは
もう透明ではなくなって
すっかり
オレンジ色に染まりながら
たしかに
そこにいて
また、歩き始めた


自由詩 曲がり角の金木犀 Copyright miruki 2012-11-27 17:09:21
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