ラグビー観戦による世界の捕え直しのためのエスキース(習作)
N.K.

妻も娘もついて来ない
今日はラグビー観戦なのだ
  (念のため誘ってはみたけれど
   妻は乗り気ではなく
   娘も妻と過ごすというのだ)

今日は生憎の天気だけれども
霧の香の青い芝のフィールドが
晴れだろうが雨だろうが決戦の地だ

細かいルールは判らないが
ボールを手に前へ進めば
それが陣地を広げることになり
フィールド全体を征服することになれば
それが得点だ

正確に配分された15人対15人の
ボールを巡るぶつかり合いだ

ボールを持つものは我武者羅に
前へ出ようとし
ボールを奪おうとする者は
恐れずに向っていく
ボール以上に価値のあるものは
その場にはないかのように

観ることの他は何できない者も
ボールの行方に一喜一憂する
恐れずにぶつかり合うことで
骨折することもあるとは分かっている

実際に回復の時期を静かに耐えた奴らの
学校の教室ではお調子者だったり
気が優しかったりする奴らの
ハーフタイムを挟んで前半後半の
正々堂々のぶつかり合いだ

ボールを持って果敢に進め
ボールに向かって勇気を持って突っ込んで行け

声援とともに自分の抑えていた何かも
ノ―サイドの笛が鳴るまで
フィールドに解き放たれた


自由詩 ラグビー観戦による世界の捕え直しのためのエスキース(習作) Copyright N.K. 2012-11-25 16:25:59
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