輪郭
三田九郎

吐く息が白くなった
あ と思う とたん 消えていく
僕のこの
行き場を持たないうごめきも
こんなもんなんだな

白々と夜が明ける
その前に街灯が消える
もう少しだけ
その願いが折られるとき
自分のうちに意志を見つける

群青の濃密な未明には
未知の人物とすれ違う刹那
警戒心でぞくぞくする
電車を待つ 駅のホームの一番前で
突き落とされる気がする あれと同じ

とりとめのない思案が
他人の侵入で霧消し
剥ぎ取られてしまうと
生存欲を
自分のうちに発見する

思う以上に
生きようとしているらしい
軟弱な自分の真ん中に
少しだけ輪郭を見た
確たるものがある気がして
夜は明けた


自由詩 輪郭 Copyright 三田九郎 2012-11-24 06:31:49
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