気づき
木の若芽

「気づき」
                 木の若芽


きのうとはちがう今日が始まり
ああ 風がふく
きのうとはちがう風が
 
明るい空を吹き渡り
晴れやかな世界を吹き払う
風の音を聞いていたら
そのなかに飛び出していって
立ち向かったり 背中を押されたりしてみたくなった
なぶられきりもみしてみたくなった
風の大神みずからが吹かせる風になら

強い強い風のなかを
がんばりがんばり歩いてきた
ほっとして気づくと
なにかを風にさらわれてしまったよう
でもそのなにかがわからない

いたずらな強い風に飛ばされたのは
心かもしれない
夕方 やっと風がやみ静まって
ひらひら はらはら
心がもどってくる

夕方の道
かげぼうし
わたしのだけどわたしより
大きくて くっきりと
いっしょに歩いていく

かげぼうしも日の光が好きなのだ
ぽかぽか小春日がうれしいのだ
大きくて くっきりと
いっしょに歩いていく
 
気づいてあげよう
見てあげよう
もっともっと
かげたちのドラマを

不思議なしかたで
心の中と外がすっきりとなっていた
星がときどき一直線にならんだり重なったりするように
木がときどきいっせいに葉を落としたり満開になったりするように

あなたの願いがきっととどいた
その知らせのように
明日 うれしそうに外へ飛び出すあなたが見える



自由詩 気づき Copyright 木の若芽 2012-11-22 15:58:32
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