誰が指折り願う日に
邦秋

笑顔色の街の中で 屋根の下独りきり
椅子に座って 本を広げては 心孤独 三年前の冬

思いどおりの春じゃなくて
壊れていると思っていた爪先の向きを決めるコンパス
買い換えようと思っていたけど

いつも同じに見えてるようで そっと変化を重ねている
空のように心の色が晴れて 今は素敵な歌、唄えてる

 知らないことばかり (出逢いの頃は)
 溢れた道のりで   (離れていたけど)
 この場所と君には  (心通わせて)
 出逢えた喜びに   (今がある)
 理由はいらないから
 「今朝見てた川の水煌いてた!」
 それくらいの偶然がいい


妙な仕組みで涙しながら地図を描いてみたり
優しさを隠した声を受けて遥か遠い岬を目指したり

どうにか新しい冬まで こうして嵐のように速く
君と駆け抜けて来たけど 今日は無意識に立ち止まってしまう

 淋しい春が来て  (卒業の色が)
 芽が起き出す前に (色めく前の)
 誰もが願い事    (ラストクリスマス)
 指折り願う日に   (願うのは)
 「もう少しこの夢が続きますように」と
 栞の数だけの 思い出をめくりながら言おう


自由詩 誰が指折り願う日に Copyright 邦秋 2012-11-21 23:55:22
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