秋・絢爛
千波 一也
だれに
味方をするでもなく
秋はしずかに燃えている
わたしが
ひとを敵視するのは
燃えようとする
哀しい加速
はなはだ容易い
弱さの
露呈
いっそ
水になれたら
けなげだけれど
わたしは
凍りとがるより
能がない
まして
小石のように
一人で空を仰げはしない
きっと
すぐにも駆けだして
ささいな拍子でつまずくのだろう
風の底から
空をおもいだすのが
やっとだろう
語り尽くされても
なお絢爛豪華な
緋のほとり
わたしはちいさく
くすぶっている
余されるほどでもない
身勝手さで