いつか、
石瀬琳々
鳥が啼いてゆく
いつか、いつか、いつか、
赤い夕陽がしたたり落ちて
心を焦がす イタイホドニ
近づけばまた遠ざかり
遠ざかるとまた近づく
蜃気楼 日々は
そしてまた鳥が啼いてゆく
尾を引きながら
雲の向こうへ消えていくのを
いつか来るいつか、を思いながら
この道を歩いている
青い風が耳もとを吹き過ぎる
ため息に似た セツナサデ
夢みたものは手をのばしても
まだつかめなくて
どこかであきらめて
それでも忘れられなくて
そしてまた歩き続けて
路地を曲がると
迷い猫がいつか、と囁いたのは