木の人形
ゆべし
さあ、選別なさい、と、老女がまっ黒な風呂敷を広げ、そこからごろごろ転がり出たのは、大きな頭をした、不恰好な木製の人形だった。
選別なさい。枯木のように固そうな手を伸べて、老女は子供を促す。
これは誰なの。
子供はたずねる。
瑣末なことよ。
老女は答える。
選んで分けて、まとめるの。これはあちらに、あれはそちらに。
ああ、それでは不正解よ、もう一度。
散らかさないで。やり直し。まだだめよ。泣かないで。泣いている場合じゃないわ。
早く続けるのよ。早くしなさい。
何度言っても分からないのね。さっきも同じ注意をしたわ。
愚図め。さっさとやりなさいよ。どうしてこれが分からないの。
こんな単純で簡単な作業もできないの。ねえ、それならお前には何ができるの。教えてちょうだいな。
ああもういや、そうやってまた泣く。泣けばすむと思っているんでしょう。どうしてこう、根性がないのかしら。腹立たしい。
ああ、ああ、ああ、ああ、ああ、アア!
この××××――――!!!!!
ごろん、と、子供は床に落ちて不恰好な木製の人形になりました。
女はぎゅんっと縮まって、反対側の席に座りました。