言葉の彩
黒ヱ


「いろでもいい あやでもいい」

凍った花弁に 想いを寄せて
人肌が恋しくなる程の 凍てつく夜

「ああ、もうこの夜は寒いなあ」

夜空は澄んだ 点が黒に細々と浮かんでるだけ
波打ち際は冷めたように 音を鳴らし続けている

「そう思えば そんなこともあったかしら」

箱は走る その中では寄り添っていた
二人で見ていた景色 一人ではもう 思い出せない

氷が溶けてしまう

「貴方に名前を付けてほしい」

もう剥離した 戻らぬ思い出の淵で
貴女が手を振る

笑顔で


自由詩 言葉の彩 Copyright 黒ヱ 2012-11-20 18:22:53
notebook Home