センシティブ
村正
庭先から線香の香り
不意によぎる鉛色
殺伐
カレンダーのない部屋
起きたら茜色の光
ニュースは無常で埋まる
軋みとかたむく振り子
そしてきれいなお姉さん笑った
明日も天気は晴れです
オレには関係ない
また覚えない
それを自分で選んだ
そういうつもりで
ミリオンの映画
感傷の支配下で
何を覚えたのか
涙は感動の単位になった
どうしたって減る
なにもほしくないのに
大盛りになっていた
外は寒くなかったから
なにを言おう
なにも返せない
団欒の夢をみていた
ぼんやりしたら
また茜色みたい
そして知っている
きっとやいつかを
いつまで待つんだ
そういう日
予報の前
報じられるんだろう
なまりいろ霞んだ
人ごみなのにひとりなんだよ
なまりだま貸すんだ
貸すんだ
霞んだ
繰り返すんだ
いいんだ
もう帰るんだ
さあ
螺旋状の感性の上
庭先から線香の香り