儚い。
元親 ミッド
夢は、永くは続かぬ。
それは、天を覆わんと咲き誇る
満開の桜のように優雅で美しく
そして儚い。
夢は、永くは続かぬ。
それは、木漏れ日とともに降り注ぐ
蝉たちの歌のように情熱的で
そして儚い。
夢は、永くは続かぬ。
それは、街をセピア色に染め上げる落ち葉のように
思い出のように優しくて
そして儚い。
夢は、永くは続かぬ。
それは、凍えるキミに容赦なく降りそそぐ
白い白い雪のように純粋無垢で、
そして儚い。
夢は、その殆どが
目覚めてはすぐに揮発してしまうのだ。
まるで開封したアルコールの瓶のように。
そうして、なんとか思い出そうとしてみるのだが
揮発した夢は、あたりにその香を漂わせるだけで
どうにもこうにも思い出せぬものなのだ。
でも、それでも
人は、その人生において、ことあるごとに夢を見る。
それぞれの季節に、それぞれの夢を。
きっと
夢は、儚いからこそ美しいのだ。