儚い。
元親 ミッド

夢は、永くは続かぬ。

それは、天を覆わんと咲き誇る

満開の桜のように優雅で美しく

そして儚い。



夢は、永くは続かぬ。

それは、木漏れ日とともに降り注ぐ

蝉たちの歌のように情熱的で

そして儚い。



夢は、永くは続かぬ。

それは、街をセピア色に染め上げる落ち葉のように

思い出のように優しくて

そして儚い。



夢は、永くは続かぬ。

それは、凍えるキミに容赦なく降りそそぐ

白い白い雪のように純粋無垢で、

そして儚い。



夢は、その殆どが

目覚めてはすぐに揮発してしまうのだ。

まるで開封したアルコールの瓶のように。

そうして、なんとか思い出そうとしてみるのだが

揮発した夢は、あたりにその香を漂わせるだけで

どうにもこうにも思い出せぬものなのだ。



でも、それでも

人は、その人生において、ことあるごとに夢を見る。

それぞれの季節に、それぞれの夢を。

きっと

夢は、儚いからこそ美しいのだ。


自由詩 儚い。 Copyright 元親 ミッド 2012-11-16 16:26:05
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