大きなもみじ
木の若芽

「大きなもみじ」
              木の若芽


いろんな木の葉が散り交じる
大きい葉 小さい葉 ぎざぎざの まるいの
一面にふりまかれた気取りない木の衣装の端切れ

  *

山の晴れた光はいっぱいに
陽の光と木の光と川の光
空から光り 谷から光り 森から光る
朝の山に分け入り
朝の森を歩く

ふと不思議な感覚
まったく音がない
いやすべての音を吸いこんでしまう
光のめったにささない深い濃い杉の森に迷う
手と頬が冷たくなる
心地よい不気味さ
ああ灰白色の木の肌して
眼下の崖から眼上の空へそびえる寡黙な巨木
まわりの木々は紅に茶に黄に
葉の雨を落とし
音楽のように
巨木はじっとそれを聴いている
そして水を根元からしたたらす
木の涙

  *

もみじする山
しずかに祝う
土を水を光を
木がある地
葉がある木
そこに川が流れる
祝う理由はそれで十分
おお 今もみじしろよ

この年の空気の具合に合わせて
いろどりをととのえて


自由詩 大きなもみじ Copyright 木の若芽 2012-11-15 16:01:05
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