黄色い言葉
殿岡秀秋

熱せられてどろどろになった
黄色い言葉を型にいれる
冷えてプリンのように固まったのを
皿の上にもる

黄色い言葉は
テーブルの上の静物画だ
触れると聴いたことのある歌声
この中にきみがいるかもしれない

唇をよせて囁くと
壁が開き
ぼくは小さくなって
奥に導かれる

どこまでも続くとおもわれた
黄色い壁と通路を
抜けると
明るい中庭にでる

噴水の前にきみがいる
水の中からでてきたばかりで
髪と足と翼が
洗いたての葡萄のように光っている

花壇の花は菓子でできている
明るい色を選んできみにわたす
噛んだり舐めたりして
たがいの気持ちを確かめる

きみは言葉で編んだ
ぼくの黄色いガウンにさわる
きみの問いかけに何でも答えるために
幾日もかけて織ったものだ



自由詩 黄色い言葉 Copyright 殿岡秀秋 2012-11-15 06:39:04
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