弟のプリンを冷蔵庫から盗む。鳥の名前にやたら詳しい。血液型が気になる。勉強ができない。
(世界の終わり)
遅刻する。早退する。ブッチする。君に会いにいく。電車のドアが目の前で閉まる。
(世界の終わり)
「蟻の巣にさ」「うん」「溶かしたアルミニウムを流し込むのね」「えげつな」「でも、キレイなんだよ」「うん」「ビルの化石みたいでさ」「うん」沈黙が実はキライじゃなかったりする。
(世界の終わり)
蝶を原に放つ。シマウマを塗り絵にする。月光が自販機に落ちてる。天使についての歌を口ずさむ。
(世界の終わり)
カブトムシになりたかった。船乗りになりたかった。通訳になりたかった。 詩人になりたかった。
(世界の終わり)
ビッチのあの娘はカポーティを借りパクした。「遠い声、遠い部屋」
(世界の終わり)
光る。回る。自転車のスポークス。坂道をくだる。先月の移動遊園地のポスターをはがす。
(世界の終わり)
決まって深夜に出発する。助手席にカバンを置く。なにも終わらない。なにも始まらない。環状の橋を越えつづける。朝にはまだ時間がある。タイムスリップしちゃいそうな。濃い霧の先。
(世界の終わり)
いつもの散歩道に花が咲いてた。
(世界の終わり)
流れ星はあまり見たことがない。どこからか懐かしい匂いがする。振りかえる。シーンとしてる。フードをかぶる。冷蔵庫の扉はパタリと閉める。
(世界の終わり)