スプロール化Ⅰ
すみたに

茎干からび転げる掘り起したままの花園に名もしれず


向日葵が花咲く中潜る蜂羨ましく思う夏過ぎ


自転車の百千並びに差す秋陽その長し影から出れずに寒し


歩き方忘れたように並木道原付はや過ぎてはや止まる


風攫う枯葉踏みしめ引き止まば砕け粉々残るつま先


蟻すらも羨むほどにわれの瞳は黒く溶け出して


すれ違う清潔感の学生に顔見上げるもつゆ知らぬまま


チェック柄溢れる構内モザイクの無気力な蝶を見る屋上で


鼻下の面皰を鬻ぐ瘡蓋風吹き痛む触れた爪に血


政治犯のポスターより凶悪な勧誘ビラで埋められた壁


窓閉まる階段前で引き返し図書館行きて書架彷徨う


短歌 スプロール化Ⅰ Copyright すみたに 2012-11-12 21:29:10
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