アオガエル
三田九郎

外はまだ暗い

風はないらしい

木々の揺れる音もなく、ただ

規則的で優しい雨音

世界の静寂

僕の孤独が浮かび

街灯の足下でアオガエルが思案していた

天気予報、雨って言ってた?

うん。

そして視線を中空に向け

彼はまた思案を始めた

急な雨は困る

日々の気持ちを洗い流して

ただの孤独になる

何の準備もなく

気まずく

ふいに孤独になる

彼女は今日も仕事だし

読みかけの本はもうないし

日曜日 予定ない

冷たくないの?

うん。

淋しくないの?

うん。

夜は明け

雨音に時折

さえずりが混ざり

往来の車が増えても

彼はまだ思案していた

濡れた背中は鮮やかで

灰色の濃い路面に

ひとり、眩しかった


自由詩 アオガエル Copyright 三田九郎 2012-11-11 06:52:20
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