まゆだま
藤鈴呼

猫柳を白繭玉と詠む心粋に
椿のエキス トパッとかけて
蒼い世界を 注ぎ込むと
夕暮れが 完成します

早く 美しさを 愛でたいので
朝焼けから 参上するのは 目出度いか
ドバッと 欲張らぬことが ポイント

母が言った
このコーヒー 美味しいね
そうよ 粉を 少なく 入れてるからね

昔 貴女が作ってくれた ハヤシライスが
とても 美味しくて
出来るだけ ルーを 長持ちさせたいと
大量のゴハンに ひとかけのルーで
何杯も 凌いで
何倍にも なるかって 信じたわ

だけど 気付いたの
葡萄も サクランボ狩りも
手に持ちすぎては 落としてしまうし
手に持ち過ぎては アメてしまうし
適度な 加減が 大事なんだ って

繭玉はねえ
適度じゃあ イケナイのね
空気が入ると 中の子供が 泣いちゃうから
越冬出来る位 編み込んで あげないと
心まで 凍ってしまうのですよ

だからと言って 日長いちんち
水滴出せとは 言ってない
花粉と契約 していない
なんて 言いながら
やっぱり 大人も 泣いちゃうんですよ

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自由詩 まゆだま Copyright 藤鈴呼 2012-11-10 12:26:45
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