『架空の地上』
あおい満月

わたしから、
誰もがみんな目を叛ける
見える人には見えてしまうのか
わたしの眩しいくらいの死線が

わたしはいつも
生と死を
天と地を分断した
千切れた藁人形を手に
地下鉄をさまよっている
出口のない出口
入口はみんな死の静脈流
傷口は、
永遠には塞がれない


階段を昇ると
目を射る陽射しにたち眩んだ
現実という幻
幻という現実が
交差する交差点
相変わらず
左肘の傷は泣いている

太陽を睨む高層ビル群の反射熱に
よろめきながら辿り着くわたしの場所

**

静寂はどこにもない
いつも中心はゆれている
わたしには軸がない

相変わらず、
恋人は白線の外側を器用に歩く
足の裏の雨を鳴らしながら

熱風に背を押され
地上に出れば
また同じ交差点
分断された人形
腰から下が
握力でほどけた
わたしには、
ちがない

                       二〇一二年八月三十日(木)


自由詩 『架空の地上』 Copyright あおい満月 2012-11-09 20:45:12
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