最前線ふたたび
しもつき七



つれていって戦地、立ち向かわせて敵前、
ここは地という宣告のもと飛び降りようとしている
ふたつの目がほんとうは空を凝視している


きみのもっているぜんぶの切れ味をわたしに集中させて
見つめ合えば
粉粉になるくらいに



すべての破片は身体をすり抜け、
人工衛星がごとくはるか大気圏で燃えつきるね
きみの後ろを敵機が通過するけれど大丈夫
ぜったいに死なない


果実くらいの太陽がいつまでも真上にあって
うまれたての血溜まりを蒸発させている
また夕焼けが増えそうです

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吹きつけてくる熱風は頬にかかると吐息に変換されてしまう
まつ毛をふるわせて産毛を濡らして
だから泣いてもばれない
そんなの困るのに



武器を捨てて
よろいを脱いで
偵察レーダーに発見されちゃったわたしの目も心臓も
1/16mmの砂塵みたくばらばらになればいいのにな




冬は食後にりんごをかじる

赤い部分がしゃりりと泣いて

よく冷えていく


自由詩 最前線ふたたび Copyright しもつき七 2012-11-07 21:00:53
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