Vaya Con Dias Amigo
HAL
来る日も来る日も嵐のなか
海が凪いた日はわずか数頁
そうかきみの航海はそれほどまでに
吹きつける風と雨のなかだったのか
行会いの関係の際に笑顔で手を振っていたきみは
旧友であるぼくに心配をさせたくなかったからか
こうしてきみの航海日誌を捲っていくと
凪いでる日はほとんどなかったかのよう
でもきみは嵐と嵐の間の稀なる穏やかな日には
満天の星々の位置を測り羅針盤も確かだと記す
やがて水平線から昇る太陽の光は
神々しいまでの美しい陽射しだと
太い文字で記している
そのような朝をぼくは
まだ知らないままに
違う海洋へ舵を切る
ぼくの航海日誌に嵐の日々を
綴られてる頁は殆どないのに
きみは笑い手を大きく振りながら
ぼくになにかを叫んでいた大声は
あれは別れの挨拶だったのか
ぼくはそれに気がつかなくて
ぼくと反対の進行方向へとゆっくりと去りゆく
きみの舟の海水の軌跡をただ看送っていただけ
きっともうきみはきみの目指した陸地に
たったひとりで接岸し今度は大地の上を
きみらしい大きな歩幅で歩いているんだろう
そんなきみの真っ直ぐに歩く背中を想いだし
ただ一言ぼくは告げる『さらば友よ 神とともに行け』と