迷子と
柊 蒼衣

肌寒い夜

「此処は何処?」

手を伸ばしてみても闇
目を凝らしてみても闇

ひとり
取り残された僕に
星たちは微笑んではくれないらしい

視界がぼやける
それが涙のせいだなんて

冷たい雫でさえ僕を置いて落ちてゆく

「一人にしないで」
叫びにも似たその声

すると
誰かが

「もう大丈夫だよ」

上から降りかかる声
孤独な闇に溶けて


自由詩 迷子と Copyright 柊 蒼衣 2012-11-07 17:35:33
notebook Home 戻る