寒風にさらされて春を待つ
石田とわ




白い朝が冬の到来を告げた
水やりに素足でベランダに立てば
コンクリートの冷たさが
足の裏からはい上がり
からだのぬくもりをしらしめる
ベランダにつくった小さな庭
たくさんの命の息づくところ
この寒空で緑の勢いがあるはずもなく
そうかといってうなだれもせず
あるがままにそよいでいる
枯れることも萎れることも
宿命だと言わんばかりに
わたしはもがく
生きるがために
寒風にさらされて
凍えるからだ抱きしめれば
会いたいと
こぼれる涙に
凍る素足が温まる
あの人とこの草花のように
ともに枯れるまで
生きる
冬よ、寒さよ、北風よ
たったひとつを
奪いとらないでくれ

春を待ってもいいですか






自由詩 寒風にさらされて春を待つ Copyright 石田とわ 2012-11-05 23:30:12
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