明日の家庭科のテスト、林檎の皮剥きできないから手伝ってと呼ばれて、夕焼けをバックに、包丁
を手にしたセーラー服 おまえなんかいなくなればいい 頬から頬に貫通する包丁 口内で林檎 校
内で燐光 きらいだった おまえの皮剥き きれいだった 早う死ね 湿っぽいグラウンド 青い林檎飴
夕焼けの見えるグラウンド が舞台で『林檎』が出てくる喧嘩する話
天井に挟まったボールを見ていたら雨が降ったらしい音がして水の重みに耐えられなくなった屋
根は私を潰そうとし屋根の上で昼寝をしていた濡れ鼠と抱き合わせになり雨を飲み込む まるで三
人 うそ 一人
一人きりの体育館 が舞台で『雨』が出てくるトキメク話
金のジョウロは結局真夜中なら意味ないじゃない 夜色のそれじゃない 金だからって水は透明だし
花がきれいに咲くとも限らない どこまで無意味でいられるか 無意味 いっそ持ち手をなくして蓋を
つけてしまえばいい それだけ 人はそうやって光合成を身につけてくし それだけ
真夜中の公園 が舞台で『ジョウロ』が出てくる楽しい話
あの人の体積と同じだけの積み木をプールに沈める そして着水する 二人だけの世界はこれくら
い/って 塩素はいじめのにおい わたしを救った彼の 手の冷たさは水に似ていた 柵を超えた太
陽がオゾン層を通り抜けて視姦してる なんて授業をサボっていじめを演出するわたしを 愛して
くれますように
青空のまぶしいプール が舞台で『積み木』が出てくる片想いの話
檸檬 みたいにグラウンドにハンバーガーをセット 大量生産された爆弾は無力で働きたくない社会
人と同じ なにもできないくせに 校舎のかげが伸びるに沿ってグラウンドは広がるけど本当は 土地
に沿って聳えただけだよ 傾
真夜中のグラウンド が舞台で『ハンバーガー』が出てくる楽しい話
鎖で巻かれ屋根裏に閉じ込められて何日か経った 今朝も埃が光る 窓がないのにどうして という
疑問は 何も食べてないのに生理が という緩慢に似ていた 赤いサボテン 少しずつ愉しくなって
母親も愉しそうだった 意識は絶えず刺激を繰り返すし背徳に震えたりする ぼく女の子じゃない
けど
朝陽のあたる部屋 が舞台で『苺』が出てくる明るい話
ホームのごみ箱に突っ込んであった花束に手を伸ばしてみた。萎れていたけど甘そうだったし食
べてみた。空腹だからか なんでもおいしく感じる。小学生のとき躑躅を吸っていたときは知る術
もなかった生活である。税金を払わないでも生きていけるのは変わらないのだし。
青空のまぶしい駅のホーム が舞台で『花束』が出てくる爽やかな話
通学路の脇にある池の氷を持ち寄ってだれが一番おおきいかを勝負したりした。登校時間の遅い
子を待っているうちに溶けて水たまりになって悲しい、けどその水たまりはあの子のスカートの中
をうつしていたし、それはそれで幸福だった。冬の学校はたのしかった。
静寂に包まれた教室 が舞台で『水たまり』が出てくるバトルする話
みんな一斉に携帯を線路に投げ込みはじめて、賽銭 と思った ホームに押し寄せる電車はそれに
構わず 携帯を持ってない人は人でなくなった 地球に線が引かれていく また どうやっても移動
できないから 連絡 使命に駆られて連絡
騒がしい駅のホーム が舞台で『携帯電話』が出てくる爽やかな話
水道の蛇口に指輪が光っていた 砂場の山のてっぺんにも すべりだいの裾にも ブランコの前のタ
イヤの上にも指輪が光っていた みんなさよならしたいんだ 子どもの気持ちを置き去りにするんだ
公園は卒業式の会場だから ほらお姫さまが指輪を食べだすから さよならだよ
朝陽のあたる公園 が舞台で『指輪』が出てくる明るい話
林檎を摘出すればゲームは終わる 公園のすべりだいのてっぺんからそれを転がせばボーナスポ
イント 恋人の寝込みを襲って息を止め、公園にダッシュしてる朝を愛しいと感じられるならば
手中の赤が酸化し腐っていてもそれは優しさで片付けられる気がした
自分から林檎を摘出するときはブランコでやらねばならない 遠心力に頼らねばならない 死ん
だあとの自分の重力や外見を考えねばならない 食事もやめなければ かわいそうに 地面の上で
、ひとりで、サーカスなど
ブランコと、爪先と指先がお遊戯会の飾りみたいに連なって 死体が輪になって可愛い とか主観
その他のすべてが落葉していく
青空のまぶしい公園 が舞台で『林檎』が出てくる戦う話
担任が屋上から飛び降りる実習をしたから今日も教卓には花束 花束=自習でクラスメートはう
れしい このまま授業が始まらなければいい 担任なんかいらない 任せたつもりなんか無い担わ
れたくなんか無い オルガンに花束
朝陽のあたる教室 が舞台で『花束』が出てくる告白する話