転んでも大丈夫
桜 歩美


誕生日の朝
「お母さんおめでとう」の一言
照れながらくれる君
そんな君を忙しく見送って
いつものように急ぐ駐車場で
すっ転ぶ私

誕生日なのに派手に転んで
何年ぶりかの擦り傷を負い
足も痛い手も痛い腰も痛いもう泣きたい
痛さよりもみじめさに泣きそうだった

でも負けない
お母さんと呼ばれる人になったから
仕事にさっさと行く私がそこにいた

でも泣きたい
お母さんだって女の子だもん
「誕生日に転んで怪我するなんて・・」

仕事をしていれば
痛さを感じる暇もなく忙しい
あっという間に君の帰る時間に追いつく
うちに帰ると君が先に帰宅していた

「お母さん転んじゃった」
「大丈夫?」
そんな会話でもう涙は飛んでいったよ

テーブルの上にはリスさんのカップのプリンアラモード
もう年は取らなくていいのにって思ってたけど
どんな辛いことがあっても
やっぱり誕生日って
いいかも知れない

転んでも大丈夫
私はお母さんだから



自由詩 転んでも大丈夫 Copyright 桜 歩美 2012-11-05 20:53:12
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