転んでも大丈夫
桜 歩美
誕生日の朝
「お母さんおめでとう」の一言
照れながらくれる君
そんな君を忙しく見送って
いつものように急ぐ駐車場で
すっ転ぶ私
誕生日なのに派手に転んで
何年ぶりかの擦り傷を負い
足も痛い手も痛い腰も痛いもう泣きたい
痛さよりもみじめさに泣きそうだった
でも負けない
お母さんと呼ばれる人になったから
仕事にさっさと行く私がそこにいた
でも泣きたい
お母さんだって女の子だもん
「誕生日に転んで怪我するなんて・・」
仕事をしていれば
痛さを感じる暇もなく忙しい
あっという間に君の帰る時間に追いつく
うちに帰ると君が先に帰宅していた
「お母さん転んじゃった」
「大丈夫?」
そんな会話でもう涙は飛んでいったよ
テーブルの上にはリスさんのカップのプリンアラモード
もう年は取らなくていいのにって思ってたけど
どんな辛いことがあっても
やっぱり誕生日って
いいかも知れない
転んでも大丈夫
私はお母さんだから