早朝より
たまごボーロ

空はまだ薄暗く、街はまだ起きていない。
風は身体の熱を根こそぎ奪い去っていき、知らん振りしながらどこかへ流れていく。
ポケットに入れておいた、カイロの役割を持った缶コーヒーは熱を失いかけていた。
冷える身体で、足踏みをしながら日がでるのを待つ。

うっすらと雲がオレンジ色に染まっていき、日の出が近い事を教えてくれる。
街は少しずつ、まるで歯車が動き出したように動き出す。
車の駆動音が徐々に大きくなっていく。
縮こまっていた鳥たちも、活動し始めたようだ。
今まで静かだった世界が賑やかになっていく。まるで、遠くからパレードが来るみたいに。

雲は朱色のグラデーションで空を彩り、太陽がすぐそこまで来ていることを予感させる。

街はより賑やかになっている。十分に明るくなり、街灯が消えいく。きらびやかだった街はひっそりと息を潜めた。

朝が来る。

紅い太陽が頭の先を覗かせた。
世界はより紅く染まっていく。
凍えていた身体に、熱い血が流れるようだ。
息を思いっきり吸い込み、高揚感に満たされる。

朝がきた。今日が始まる。

おはよう。

今、ここにある全てに挨拶した。





自由詩 早朝より Copyright たまごボーロ 2012-11-02 16:02:48
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