秋の草によせて
そらの珊瑚

秋の野に草冠をそっと載せ誰もたたえぬここは萩国

五芒星わたくしの摘む紫の桔梗を君は星だと教え

撫子はまわるまわるよ幼子の見つめる先でかざぐるま

日が経てばすすきの紅い穂もはじけシャンパンカラーに野を酔わせてる

銀色の薄の波にゆれている狐のしっぽ孤独のしっぽ

はなからは女ではありませんでした ならい演じてひらく女郎花

誰彼にしがみつくよう生きてきたくずかずらこそ強い女よ

藤袴 小刀のようなその葉でも断ち切ってみせると君はいうのか

晩秋の冷たい夜をわたりくるさみしき魂 朝露になり

千の秋すぎゆく日々のとむらいにひとひらの雲蒼い空ゆく

タマ、と呼ぶ えのころ草の揺れる野に答える猫は面影のなか


※えのころ草…俗称 猫じゃらし


短歌 秋の草によせて Copyright そらの珊瑚 2012-11-02 10:19:16
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