手のひら
灰泥軽茶

山が色づき始めた

少し

ゆっくりと歩きながら

両手

手のひらを軽く閉じると

生命の鼓動

どんぐりがひとつずつあるようだ

丸くて暖かい

するとちくりちくり

芽があっというまに

私の身体中に根を伸ばし

躍動する

わぁああと両手をひろげると

小さな折り紙でできた

トンボがたくさんたくさん

山に向かって

音を吸い込むように水平に飛んでいった






自由詩 手のひら Copyright 灰泥軽茶 2012-11-02 02:45:55
notebook Home 戻る