そとのうた
もっぷ

冬の終わるところへ一緒に行きませんか

さやかな声に振り返れば茶色い子
翼がふるえている
寒さにふるえている

融けないままの樹氷の絵がみえる
、いつの間にかここは冬の国

もとっから
ここ、
だったよねぼくらの郷は
けぶる桃色遠く
約束の黄唯色はどこにも
種を蒔かれてはいない

泣いたらいけないよ
なみだが凍ってもっと不自由になるのだから
笑ってもいけない
笑顔はこの芝居を台無しにする

いつか終わるところへ
冬の終わるところへ
次がめぐるところへ

行けるわけなどないのに
思っても通じないのに

茶色い子は声をかけてくれた
君は声をかけてくれた
ふるえながら
それでも寄り添えばきっと、と

夢から落ちて初夏
一人の部屋の窓の外
薫風はわたしではないすべてに向かって
唄っていた

寄り添う熱を知り淋しさなど知らない
この国のすべてに向かって


自由詩 そとのうた Copyright もっぷ 2012-10-31 00:12:57
notebook Home 戻る