ながい夜
川上凌
年頃だから
家族共用のコップがいやで
表面張力の水で くちをゆすぐ
吐き出した 唾液まじりの泡々は
キシリトールが効いていて
小4のくせして
甘ったるいイチゴ味の
オコサマ用はみがき粉をつかう妹が
ひどく幼稚にみえた
最近は、進路を考えだすと
夜は果てしなく延びて
そのうち ふと、キシリトールだって
甘いよね、とおもうようになった
そしたら妹の甘いイチゴ味も
あたしのキシリトールも
イコールで、結ばれてる気がした
自由詩
ながい夜
Copyright
川上凌
2012-10-28 01:11:37