良く晴れた日の屋上で
永乃ゆち

置いてけぼりシンデレラ

ボロボロの服はドレスにはならないし

かぼちゃは馬車になんかならない

それに気付いた灰かぶりは

自分でドレスを縫って

自力で馬車を作っちゃうかもよ?


いつも笑顔の四割打者

彼はいつでもヒーローで

彼はいつでも人気者

彼はいつでも前向きで

彼はいつでも成功者


そんな奴ぁいねぇ!!


なんてことを思いながら

夏の名残りの浴衣を手洗いしてる時

シャボンを吹いてみたくなったんです


強い人なんていないよって笑ったあなたに

あなたに見せたかったな


良く晴れた日の屋上で

浴衣を洗ってるんです


あの日あなたの隣に座った浴衣を


シャボンを吹きながら


フルスイングのバッター

忘れられたガラスの靴

愛すべき弱き心

七色のシャボン


あの日の笑顔

あなたの笑顔



浴衣だけはパリリと乾きましたよ


自由詩 良く晴れた日の屋上で Copyright 永乃ゆち 2012-10-21 21:17:41
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