【 カラスの勝手じゃない! 】
泡沫恋歌

私は五月にカラスに襲われた
いつもの道を自転車で走っていたら
前を歩いているオジサンがカラスに突かれていた
ははん さてはカラスに石でも投げたんだなあ
……と 
この時点では人ごとの顔で通り過ぎようとしていた

バサバサという羽根音が聴こえた
カァー と鳴き声がした
その後 コツンを頭に何か衝撃が!?
あれ なんだ?
――と思ったら
もう一度 カツンと私の後ろ頭を蹴って
カラスは空高く飛んで行った

チクショウめ!
何もしてない通行人に何をしやがる
つがいのカラスにやられたようだ
見事な連携プレイで二発キックをおみまいされた
帽子を被っていたのでマシだったが 
カラスの後ろ脚キックはかなり強烈だった

危害を加えた訳でもないのに
まさか 自分がカラスに襲われるなんて
想像もしてなかった
道を通っただけで攻撃するとは
上等じゃんか!
その日からカラスは私の生涯の敵になった

近くにお前の巣があったとしても
雛たちの巣立ちシーズンだったとしても
餌がなくて苛立っていたとしても
そんなことは知るか!
 
「カラスの勝手でしょう」

そんな理屈は私には通用しない
動物愛護協会に怒られても
日本野鳥の会のメンバーに睨まれても
グリーンピースに大砲を打ち込まれても

カラスめ
お前の勝手なんか 断じて許さん!
人間さまを舐めんなよ
いつか成敗してやる
ポケットに小石を忍ばせて
自転車に跨り今日も行く

覚えてやがれ!



自由詩 【 カラスの勝手じゃない! 】 Copyright 泡沫恋歌 2012-10-18 11:03:36
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